豊胸手術の歴史 初めは純粋に医療目的

究極のバストアップ法、「豊胸手術」。

現代ではさまざまな方法が確立され、安全性も高まっています。

その歴史は意外に古く、100年ほど前にはすでにアメリカで施行されていました。もともとは乳房の再建が目的だったそうです。

初めは純粋に医療目的だった豊胸手術

かつては乳がんの治療法と言えば、乳房のみならずリンパ節・大胸筋までを切除するハルステッド法が主流でした。

罹患した側は肋骨に皮膚が直接乗っているような状態になるため、体への影響だけでなく精神的なダメージが大きかったことは想像に難くないでしょう。

そんな女性のために人工物を胸部に挿入し、ふくらみを取り戻す…これが豊胸手術の出発点でした。

最も初期には、パラフィンなどの異物を直接注入するという、今では考えられないような手術が実際に行われていたそうです。

この方法が乳房を失った女性たちにとって大きな救いであったことは間違いありませんが、今度は深刻な副作用に悩まされることになりました。

豊胸手術の副作用

人間の体には免疫機能が備わっています。

例えば白血球。

外部から細菌や病原菌が侵入してきても、それを退治して炎症や感染を防いでくれますよね。健康維持はこの働きがあればこそなのです。

ところが、体内で処理できないような異物(この場合はパラフィン)が入ってくると、そこに炎症細胞が集まってきて、しこりのような塊を形成します。

それが意図的に注入されたものであるかどうか、残念ながら免疫機能は判断できないので、「処分できないなら埋めてしまおう」とばかりに細胞で包み込んでしまう…と考えるとわかりやすいでしょう。

こうしてできる異物肉芽腫や、表皮に成分が入りこむ油性浸潤によって、せっかく再建手術をしても摘出せざるをえない、あるいは本人が希望するといったケースが続出したそうです。

続いて登場したのはお腹や太ももの余分な脂肪を取り出し、バストに移植するというもの。

現代の美容整形にも通じる方法ですが、当時(1950年頃)の医療技術では脂肪を固定することが困難でした。

そのため変形や、大量注入による脂肪細胞の壊死や石灰化が問題となりました。

シリコンジェルによる豊胸手術の出現

こうした紆余曲折を経て、1960年代半ば、ついにシリコンジェルを使用したプロテーゼが開発されます。

プロテーゼとは隆鼻術などでもおなじみですが、もともとは「補綴(ほてつ)を意味する医療用語で、欠損した部位を補うために体内に埋め込むものの総称です。

余談ですが、虫歯治療に使用するクラウンや義歯などもプロテーゼに含まれることがあります。

このシリコンジェルプロテーゼを皮下に挿入するのですが、やはり初めの頃はシリコンバッグが異物と判断されて硬くなったり、それによるバストの不自然な隆起などのトラブルがあったようです。

1960年代後半にはこれらを防ぐための改善策として大胸筋の下にバッグを挿入する術式が発表されました。

同時期には現在の主流である、シリコンジェルの代わりに生理食塩水を使用したバッグがフランスで発売され、これにより美容目的、つまり純粋なバストアップのための豊胸手術が可能となったのです。

生理食塩水は人間の体液に最も近いとされる塩化ナトリウムの水溶液です。脱水症状や熱中症を起こした時の点滴、注射液の希釈や創傷面の洗浄などにも使われることでもわかるように、安全性においては問題がないとされました。

しかし、それをバッグにしてバストに挿入した際の耐久性や、美的な仕上がりといった点ではまだまだ改良の余地があったようです。

長らく豊胸手術の代名詞であったシリコンバッグがその座から陥落したのは1990年代のこと。

X線に映ってしまう、乳がんと誤診されやすいといった問題の他、バッグの破損によるバストの変形や健康被害が表面化し、訴訟問題に発展したためです。

1992年にはFDA(アメリカ食品医薬品局)によってシリコンジェルバッグの使用が一時停止されるに至りました。


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